俺のボディガードは陰陽師。
だが、そこで周りの奴らが一斉にシーンと黙りこむ。
え…何?
と、違和感があったが。
その時は深く考えてなかった。
食事会も終わって、みんなでレストランを出る。
表面上の雑談をしながら。
『お父様が船をひとつ買ったんだ。今度の食事会は、その船でどう?』
『まあクルーズディナー!素敵ですわね!』
『寒くなる前に開催致しましょう?』
北海道でどこをクルーズするんだ。利尻方面か?
みんなでそんな談笑をしながら、ホテルのロビーを歩く。
…しかし、そこで。
思わぬ人に出会うのだった。
(…あれ?)
フロントの前を横切ろうとしたその時。
よく見覚えがある人物が、フロント受付しているのを見かける。
『伶士、あれ…』
『…うん』
俺の傍にいた凌憲も気付いたようだ。
みんなで思わず立ち止まる。
兄貴だ。
フロントでルームキーを受け取っている。
なぜここに…とは、言わなくても、ここは兄貴のお気に入りのホテルだ。
しかし、その兄貴の横には、女性が。
(え…)
その女性の姿を確認して。
一気に衝撃が走る。