俺のボディガードは陰陽師。
『えっ、宮内さん…!』
後ろにいた仲間内の女子の一人が思わず声をあげる。
俺の心情の代弁をするかのように。
兄貴の隣には、寄り添うように近くに立っている、よそ行きに着飾った。
薫の姿だった。
薫…兄貴と?
何で一緒に…?
『…おっ?伶士じゃない。今日は何?幼稚園メンバーとのディナー?』
固まって立ち尽くしている俺達に気付いたのか、ルームキーを手にした兄貴がご機嫌な様子でこっちにやってくる。
薫も兄貴の後ろをしずしずと着いて歩いてやってくる。
俺の姿を見ても、顔色をひとつ変えずに。
『頼智さん、お久しぶりです…!』と、周りの奴らは兄貴に慌てて頭を下げている。
しかし、その空気は何故かなんとも気まずいものだった。
何で…何がどうなってるんだ?
何でこの二人が…!
思わぬ現実に、全身の血の気がサーッと冷めていく。
身動きはおろか、言葉のひとつも出ない。
そんな青ざめている俺とは対称的に、兄貴は余裕たっぷりで笑顔すら見せていた。
『…お、そうだ伶士。今日は家に帰らないから。じゃ!』
それだけ言い残して、兄貴は俺達の前を去った。
薫を連れて。