俺のボディガードは陰陽師。
家に帰らない。
手にしていたホテルのルームキー。
兄貴と薫は、そんな関係になっていたのか?
いつの間に?
薫は俺の彼女のはずなのに。
二人で何してんだ? と、問い詰める権利は俺にはあるけれど。
何故か…言葉のひとつも出なかった。
それは、鉢合わせた時に。
薫の俺を見る目が…少なくとも彼氏を見るような目ではなかった。
関係ないと言わんばかりの、冷たくて。
あたかも見ず知らずの他人を見るような目で。
声をかけることも出来なかった。
『れ、伶士…』
凌憲に呼ばれて振り向くが。
周りの奴らは、気まずそうに俯いている。
これは…。
『…実は俺、この間のVIPのパーティーで見かけたんだ』
『…見かけた?』
凌憲は頷く。
『…頼智さんと宮内さんが、二人でいるのを…』
二人で…あのパーティーに?
すると、仲間内の一人、議員の娘である舞絵も堰をきったように口を開きだした。
『…で、それで、頼智さんと宮内さんの噂が学園に広まっていて、そ、それで伶士とはどうなってるのかと…宮内さんは、伶士から頼智さんに乗り替えたって噂で…!』
『…みんな、知っていたのか』