俺のボディガードは陰陽師。
『………』
俺がはっきりそう尋ねると、みんな黙り込んでしまった。
…知らなかったのは、俺だけ?
俺…捨てられたのか?
(………)
なんだか、馬鹿馬鹿しい。
まるでピエロか。
薫と兄貴が…。
この、ワケのわからない感情、何だ?
悲しいのか、傷ついたのか、呆れてんのか。
いろんな感情が混ざっていて、よくわからない。
『…な、何てことですの!宮内…まさか、レディクラ入り狙って、元VIPの頼智さんに?よりによって、伶士のお兄様に!』
『舞絵、いいよ』
『いいって…!』
『いい』
みんなが俺を見てる。
哀れみの目で。
なんて…惨めなんだ。
『…可愛い女なら、捨てるほどいる』
何の強がりなのか、頭が混乱してるのか。
そう言い捨てて、俺はみんなを置いて、先に一人ホテルを出た。
何だ、この世の中は。馬鹿馬鹿しい。
兄貴と比べられて劣等感を植え付けられた上、女まで盗られるなんて。
俺は、いったい何なんだ。
目の前が混沌とした、果てない闇になっていく。
それからは、どこを見ても空を見ても。
全部、真っ黒の闇にしか見えなくなっていた。