俺のボディガードは陰陽師。
「…で、俺は負け犬として後ろ指指されて。そんな事も絡みながら学園を出たから…周りの連中からは、俺が兄貴に女を盗られたから学園を出たと思ってんじゃないかな」
思い返してみると…壮絶だったな。
「…っつーか、伶士は被害者だろ?鬼畜兄貴とバカ女の。しかし金持ちの世界は恐ろしいな?兄弟ハシゴ女にパーリーパーリー…」
そう言って、なずなは「こわっ」とブルっている。
その仕草がちょっと笑えた。
おまえに減俸以外に恐いモノあるの?
平気で男を蹴り飛ばすおまえに?
「いや、俺にも何か他に原因があったのかもしれないし。と、今はそう思える」
「へぇー。女に未練たっぷり?」
「いや、とっくに。だって、自分の地位と名誉のために彼氏の兄貴に乗り替える女だぞ?一気に冷めた。…大切にはしていたけど」
けど…。
すべてにおいて格上の兄貴に、一生懸命大切にしていたものを軽々と取られた。
これが格差というやつで、兄貴には何もかも絶対に敵わない。
そんな劣等感は、まだ残ったままで。
(………)
そんなことを思い出したら、ちょっと辛くなって。
目の前にある枕に顔を埋めてしまう。
「どした?」
「うん、ちょっと…」