俺のボディガードは陰陽師。



「…で、俺は負け犬として後ろ指指されて。そんな事も絡みながら学園を出たから…周りの連中からは、俺が兄貴に女を盗られたから学園を出たと思ってんじゃないかな」


思い返してみると…壮絶だったな。



「…っつーか、伶士は被害者だろ?鬼畜兄貴とバカ女の。しかし金持ちの世界は恐ろしいな?兄弟ハシゴ女にパーリーパーリー…」



そう言って、なずなは「こわっ」とブルっている。

その仕草がちょっと笑えた。

おまえに減俸以外に恐いモノあるの?

平気で男を蹴り飛ばすおまえに?




「いや、俺にも何か他に原因があったのかもしれないし。と、今はそう思える」

「へぇー。女に未練たっぷり?」

「いや、とっくに。だって、自分の地位と名誉のために彼氏の兄貴に乗り替える女だぞ?一気に冷めた。…大切にはしていたけど」



けど…。

すべてにおいて格上の兄貴に、一生懸命大切にしていたものを軽々と取られた。

これが格差というやつで、兄貴には何もかも絶対に敵わない。

そんな劣等感は、まだ残ったままで。



(………)



そんなことを思い出したら、ちょっと辛くなって。

目の前にある枕に顔を埋めてしまう。



「どした?」

「うん、ちょっと…」


< 271 / 504 >

この作品をシェア

pagetop