俺のボディガードは陰陽師。
「…きっとみんな、俺を負け犬だと笑ってるだろうな」
無意識に感情をこぼしたことに、ハッと気付いて、後悔の念にかられる。
俺、何言って…。
また泣き言を…。
こんなことを言うつもりはなかったのに。
すると、なずなは「あははっ」と笑う。
「…笑いたい奴らには、笑わせておけばいいさ」
そう言って、いつもの不敵な笑みを向けられる。
「…何だそれ」
「だって、伶士は今幸せなんだろ?やりたいサッカーが出来て」
「そりゃ…もちろん!」
今の高校に来て、仲間と呼べる人が出来た。
自分の言いたいことも言えて、素直でいられる。
みんなは、親父や兄貴じゃなく、俺自身を見てくれる。
腹の底から笑うことが出来るんだ。
「だったら、そのまま風に吹かれようぜ?あっちはあっち、こっちはこっち」
「…何だそれ」
「まあ、こっちはこっちで楽しくやりゃいいってこと。なーんも気にすることはない!」
そう言って、勝手に一人でガハガハと豪快に笑っている。
ったく、何なんだおまえは。
本当に、掴み所ねえな。