俺のボディガードは陰陽師。
目の前には、13センチはある白い厚底のロングブーツを履いた、白く細い足があった。
恐る恐る視線を上にずらす。
千鳥格子のコートに、中にはパステルピンクのミニワンピース。
胸には、カメリアコサージュ。
そして、目を見張る。
《ねぇ…早く…》
金髪のショートカットが、上から見下ろすその生気の無い視線。
しかし、その表情はどんどん崩れていき、妖艶に笑う…と、いうか、怪物のように崩れきっていて、もう人間離れしていた。
恐怖を与える、もう人間とは言えないその表情。
紛れもなく…先日、夜這いしてきた。
あのバケモノだ…!
《ねぇ…おネがイ…》
足を進めて、少しずつこっちにやってくる。
俺の方に手を…差し出している。
恐怖で体がザワザワとしてきて、汗が吹き出してきて。
意識とは裏腹に体がガクガクと震え始めた。
俺に近付いてくるにつれて、その表情はもっと崩れていき。
顔が顔じゃなくなっているぐらい、崩れきっている…!
《早クしなイト私…死んジゃウじャナイ…》
「…ああぁぁっ!!」
風が、通り抜ける。
「蠢く霊の動を封じよ!…急急如律令!不動縛!」