俺のボディガードは陰陽師。


スマホを耳から下ろしたなずなは、その表情を崩さない。

緊迫感、の一言だ。



そして、体をビクッと震わせ。

ハッとして顔を上げる。



「…来る…」



そして、後ろをバッと振り返った。

後ろには、何もないのに。



どうしたんだ…?



「…しゃちょー」

「ん?何だ?」



なずなは、スカートのポケットに手を入れている。

モゾモゾと手を突っ込み取り出して、それを親父に投げ付けた。

突然それを投げ付けられた親父は「わっ!」とビックリしながらも、それを受け取る。



「こらっ!…あ、これは!」



親父の手には。

なぜか、割り箸が三つ。

『おてもと』と書いた袋に入った割り箸が。



これ、なずなが内職で詰めていた…。



おてもと…何で?

玄関で、何で?

飯食うワケじゃねえよな。



しかし、親父はその意味をわかっているようで。

その割り箸となずなを交互に見る。



「こ、これっ!まさか!」

「そういうこと。よろしく。しゃちょーなら使い方わかってっしょ?『胸元におてもと』だぞ?」

「…わ、わかっとるわ!」



え?親父、わかってんの?

俺、全然わからない。



< 301 / 504 >

この作品をシェア

pagetop