俺のボディガードは陰陽師。
スマホを耳から下ろしたなずなは、その表情を崩さない。
緊迫感、の一言だ。
そして、体をビクッと震わせ。
ハッとして顔を上げる。
「…来る…」
そして、後ろをバッと振り返った。
後ろには、何もないのに。
どうしたんだ…?
「…しゃちょー」
「ん?何だ?」
なずなは、スカートのポケットに手を入れている。
モゾモゾと手を突っ込み取り出して、それを親父に投げ付けた。
突然それを投げ付けられた親父は「わっ!」とビックリしながらも、それを受け取る。
「こらっ!…あ、これは!」
親父の手には。
なぜか、割り箸が三つ。
『おてもと』と書いた袋に入った割り箸が。
これ、なずなが内職で詰めていた…。
おてもと…何で?
玄関で、何で?
飯食うワケじゃねえよな。
しかし、親父はその意味をわかっているようで。
その割り箸となずなを交互に見る。
「こ、これっ!まさか!」
「そういうこと。よろしく。しゃちょーなら使い方わかってっしょ?『胸元におてもと』だぞ?」
「…わ、わかっとるわ!」
え?親父、わかってんの?
俺、全然わからない。