俺のボディガードは陰陽師。
「そゆことで。伶士のことは頼んだ!…私はこの素敵な豪邸を壊さないよう努めます」
そう言って、背を向けて。
またあの複雑に指を絡めて、またカタカナの呪文を唱え出す。
「ナウマクサンマンダポダナン・ギャナウ・サンラ・サンラ・ソワカ…」
そのカタカナの呪文(真言だか詠唱だかというらしいが…)を、ブツブツと唱え続けていると。
なずなの目の前に…透明の球体が風をたてて現れる。
くるくると回り、ピンクの光をほんのりと発していて、それはやがて大きくなる。
それは…とても幻想的で。
「…伶士!こっちに来い!」
親父が慌てて俺を手招きしている。
「…なずなが結界を作っている!敵さんとバトルを始めるんだ!…危ないからこっちに来い!」
バトル?結界?
え?…何で、親父わかってんの?!
「…伶士!」
「あ…うん!」
急かされて、慌てて靴を脱ぐ。
親父の傍へと駆け寄ろうとした。
…の、だけど。
《…逃ガさナイ!》
(…え?!)
頭に怒鳴り声が響いて、進める足を停めてしまう。
振り向くと…目の前はすでに黒いモヤに包まれていた。
全身をぐいっと引っ張られて、視界が真っ黒になる。
「…伶士!」