俺のボディガードは陰陽師。

バケモノの叫び声と共に、地がまたカタカタと揺れ出す。

それと同時に、今度はあちこちからさっきの黒いモヤの柱が、またしても間欠泉のようにドン!ドン!と音を立てて、天に向かって噴き出している。

噴き出す度に地が揺れて。

「…わっ!」

離れたところからその状況を見ていたが、その衝撃に思わず声をあげてしまう。



「やめろ!…と、言っても、もう届かねえか」



その黒いモヤの間欠泉の最中にいるなずなは、それを俊敏な動きで回避しながら後退させられている。



「ならば…抑える!」



『取り敢えず落ち着かす』から、『抑える』になった。

足で地面を弾いて後ろに飛んで下がる。

しっかり着地して、スッと立ち上がった。




「ナウマク・サンマンダ・ボダナン…アロリキャ・ソワカ」




そう唱えながら、複雑に指を絡める。(これ『印』というらしい…)

そして、二本の指を天に向かって掲げる。

すると、薄い朱色の艶やかなベールが四方から集まり、なずなの頭上で花を象っているかのように動いていた。




これは、見たことがある…。

先日、俺の部屋で。



< 311 / 504 >

この作品をシェア

pagetop