俺のボディガードは陰陽師。
それを握るように拳を作ると、ベールも一緒に動いてなずなの手元で、また花を象る。
そして、一気にバケモノの方へと走り出した。
勢いよく噴き出す黒いモヤの柱を、俊敏に避けながらも走り抜ける。
そして、バケモノの懐に飛び込んだ。
「…朱霊華!」
拳をバケモノに向かって突き付ける。
同時に、強い光と衝撃の揺れと音、鋭い風が巻き起こって放たれた。
わっ…!
光と風の衝撃で、思わず顔を伏せてしまう。
《あアアぁアぁァアあぁっ…!!》
攻撃をモロにくらったのか、苦しんでいるような声をあげているようだ。
渾身の一撃を加えたなずなは、後ろに飛んで軽やかに着地する。
「…それ以上妖化しないように、封印してやる!」
そして、ポケットから霊符を三枚、素早く取り出して、指に挟む。
「ナウマク・サンマンダ・ボダナン…オン・マケイ・シヴァラヤ・ソワカ!」
《ウォぉォぉぉォおうォぉォぉぉォぉォぉっ!!》
なずながそう唱えて霊符を投げつけようとするが。
バケモノが一層の叫び声をあげる。
ますます地が揺れて、立っているにもバランスを取るのが困難なぐらいだ。