俺のボディガードは陰陽師。

譲れないモノと理屈で言い表せない何か

★★★






…漆黒の夜空のような暗闇。

そこはまるで、重力なく浮いていて。

暗い暗い海の中にいるみたいだ。




そんな暗闇の中で、夢を見た。










《…伶士…伶士…》




これは…母さんの声だ。

いつもの高くて綺麗な声。



そこで、視界が開ける。



そこには、若き日の母さんが、赤ちゃんを抱き上げて自分の膝に立たせている。

その膝の上で、赤ちゃんが足を動かして跳ねるように体を動かしていた。




《…伶士かわいいねー?かわいいねー?》




そう言って、赤ちゃんに満面の笑みを向ける母さん。

母さんが笑いかけるのを喜ぶように、膝の上の赤ちゃんは、更に手足を動かす。




あの赤ちゃんは…俺だ。




《…伶士、おかあさんがついてるからね?》




しかし、何でこんな夢を見るんだろう。

赤ん坊だった俺、こんな記憶残ってるわけないのに。

しかも、客観的にこの光景を見てるこの状態って、あり得るのか…?




《…伶士のこと、おかあさんが守るからね?…》








< 345 / 504 >

この作品をシェア

pagetop