俺のボディガードは陰陽師。
絶対、そんなことあるワケないんだ。
わかっている。
わかっているのに。
…でも、今は『そうしなきゃならない』と、思ってしまったんだ。
玄関で靴を履く。
踵を靴にしまい込むと、足元からフワッとあの黒い羽根が舞った。
黒い羽根…?
何でここに…?
(………)
…普段なら疑問に思って立ち止まることも。
今はなぜか関心がない。
だって、行かなくちゃ…。
母さんのところに…。
フラッと立ち上がって、その紙袋を再び手にする。
玄関のドアを静かに開けると、そこにはタクシーが横付けされていた。
タクシー…何で?
誰が呼んだんだ?
(………)
だが、迷わずそのタクシーに乗り込む。
…だって『このタクシーに乗らなきゃいけない』と、思ってしまったんだ。