俺のボディガードは陰陽師。

狂ってる。ただ、その一言だ。

サイコパスか。



(僕の思い通りにって…)



自分が命の危機に晒されたとか、周りのみんなが巻き込まれたことに、怒りを感じていたけど。

そんなことより…この男が、人の切なくいたたまれない感情を弄んだということに、憤りを感じてならない。

何なんだ、この人。




…だが。

被害者の俺より、もっと怒っているヤツがいた。




「…人の想いを弄びやがって…」



さっきより、更に声を落とし震えている。

殺気が混じっていそうなその声に、ゾクッとさせられてしまった。



「僕の思い通りに動け…?じゃあ鹿畑倫子さんは、自らこの状態を望んでいたということじゃないってことか…?」

「そういうことだね」

え…他人事?

自分がした事なのに…?



しかし、その無関心な態度は、こっちの怒りをますます煽る。



「…『生き霊になる』それがどういうことなのか…それほど強く想って願って、苦しんでいたということ…」



しかし、怒りにうち震えるなずなに対して、男は顔色を変えることはなかった。


< 380 / 504 >

この作品をシェア

pagetop