俺のボディガードは陰陽師。
狂ってる。ただ、その一言だ。
サイコパスか。
(僕の思い通りにって…)
自分が命の危機に晒されたとか、周りのみんなが巻き込まれたことに、怒りを感じていたけど。
そんなことより…この男が、人の切なくいたたまれない感情を弄んだということに、憤りを感じてならない。
何なんだ、この人。
…だが。
被害者の俺より、もっと怒っているヤツがいた。
「…人の想いを弄びやがって…」
さっきより、更に声を落とし震えている。
殺気が混じっていそうなその声に、ゾクッとさせられてしまった。
「僕の思い通りに動け…?じゃあ鹿畑倫子さんは、自らこの状態を望んでいたということじゃないってことか…?」
「そういうことだね」
え…他人事?
自分がした事なのに…?
しかし、その無関心な態度は、こっちの怒りをますます煽る。
「…『生き霊になる』それがどういうことなのか…それほど強く想って願って、苦しんでいたということ…」
しかし、怒りにうち震えるなずなに対して、男は顔色を変えることはなかった。