俺のボディガードは陰陽師。
「それを《僕の思い通りに動け》って…!おまえ、わかってんのか…?」
「え?わからない」
「…おまえええぇぇっ!」
抑えていた怒りが噴き出すように、吠えるような大声をあげる。
なずなはその男に向かって、一目散に飛び掛かっていった。
…えっ?!
「…お、おいっ!」
怒りを撒き散らして向かってくるなずなを迎え撃つ男性。
思惑通りなのか、薄ら笑いを浮かべていた。
「…来る?」
「ふざけんなぁぁっ!ブッ殺す!…ナウマク・サンマンダ・ボダナン!…」
一触即発、二人がぶつかる…!
「待って」
「…わわっ!」
そう思われたその寸前で、二人の間を隔てるように、光を纏ったガラスが壁のようにいきなり登場する。
突然ヌッと現れた壁に、なずなは慌てて足を止めた。
「邪魔すんな!…剣軌!」
「感情的に動くな。いつもそう教えているはずなのに、今のおまえは何だ?クライアントを放って易々と挑発に乗って」
「うっ…」
ため息混じりでブーツのヒールを鳴らしながら、姿を現している。
菩提さん…いつの間に!
気配感じなかった。