俺のボディガードは陰陽師。
すると、男性はククッと声をあげて笑う。
「…わかってるよ?…橘に手を出せば、ひょっとしたら君たちも出てくるかなって?」
「へぇ…?あえて飛んで火に入る夏の虫になったワケ?バカだね」
「おっと。ここで君たちとやり合う気は全くないよ?…だって」
その時、なぜか彼が俺の方を見た。
視線が重なってしまう。
な、何で俺を…?
そして、彼の指がスッと指した方向は。
俺の方だった。
「…面白い子、見つけたからさ…?」
(俺…?)
ニヤリと笑う、その口元に。
戦慄が走って、動けなくなる。
まるで…捕らえられたかのように。
「伶士が?…何だって言うんだおまえわ!」
「………」
俺と彼の間にいるなずなと菩提さんも、驚いた表情で、交互に俺達を見る。
「…あんまりふざけた事言ってると、本当に消すよ?」
靴音がカツンと鳴る。
菩提さんが、彼に詰め寄るかのように一歩前に出た。
後ろ姿でもわかる。
威圧感半端ない。
しかし、それを男は静かに手を出して制止する。
「…待って?…今、君たちが相手しなければ僕じゃないでしょ?」