俺のボディガードは陰陽師。
すると、男は急に自分の体を両手で抱えだした。
力が入っているのか、体がカタカタと動き出す。
やがて、風がどこからか吹き始めていた。
(…風?)
ここ、窓のない室内なのに?
自然ではない、不可思議な現象に戸惑ってしまう。
その風は集まるように、轟音をあげて男性の姿を巻き込んでいく。
風圧の勢いを受けてか、彼と対峙していた二人は後ろに退がっていた。
唸る風は、勢いも連れて上昇していく。
地上では、徐々に風が落ち着いてきた。
それと引き換えに、弱い風に乗ってフワッと舞っている。
黒くて小さい、羽毛が…。
(あっ…)
風が止むと共に、男性の姿が現れている。
それは、先ほどと違う姿で…。
それは、普通では考えられない。
目を疑いたくなる姿。
彼の背中には…羽根。
身長以上の大きい、黒い翼が二つ。
背中から、生えている…?
まるで、体の一部のように。
艶やかに光を放つ、黒い翼。
黒い翼の、天使…のようだ。