俺のボディガードは陰陽師。
「…ははっ。…術かけまくって妖気高めてたら、こんな姿になっちゃった?どうしようか?」
何が面白いのか知らないが、黒い翼の男は一人で腕を抱えて笑っている。
「…おまえぇっ!何てことしてくれてんだ!…一般人の死霊に、ここまで!」
今にも喰ってかかろうとする勢いのなずなだが、また男は笑う。
「…いいの?…この妖怪、君たちのクライアントを食べたくて食べたくて、仕方ないんだよ…?」
それを耳にしたと、ほぼ同時に。
俺の目の前には、いつの間にか…あの、ピンクの爪のバカデカい手が、伸びていた。
そのデカい掌を目の前に、動けず…。
「…妖の荒ぶる攻を隔てよ!…急急如律令!結界・盾!」
触れられる寸前で、バシッと電気のショート音が鳴る。
目の前には、菩提さんが素早く現れて背に庇ってくれていた。
「…大丈夫?」
「は、はい」
しかし、今の衝撃でバケモノにも痛みを感じたのか。
とても、耳障りなおぞましい断末魔の悲鳴をあげる。
《…ウガアぁアアあアぁァアあアァぁッ!!》
その光景を見て、男はとことん笑っている。
小馬鹿にしたように…いい加減怒りをそそられるな。