俺のボディガードは陰陽師。

やれ?

何、やるの…?



なずなの姿を視界に入れて、息を飲む。



そのなずなは…軽く深呼吸していた。



「………」



そして、その顔をグッと上げた。

自分の左耳にある、大振りの宝石のピアスに、指をそっと触れる。



「親父…力貸して」



ふっくらとした唇から呟かれるその言葉に反応するかのように、そのピアスは淡い光を発し、規則的に輝き出す。

それは、暖かそうで、幻想的で…。



その光に見とれそうになるが、もがいていた目の前の妖怪が、急に激しく暴れ出しており、思わず視線がそっちに行ってしまう。

一心不乱であるかのように、叫び声をあげては、無数の手はその身を揺らしては、獰猛にもがく。



《オおぉォォぉオォォぉォォツ!!》



その姿を前にして、なずなは腰を低く落とす。



「…Knight,…move on…」



ピアスから離した手には…その幻想的な光が移って、輝いていた。

…って、英語?

突然、英語?漢字片仮名ではなく?

発音、すごい良い…ではない。




…それは、ここ一番で驚かされる。

なずなのスーパーパワー、だった。




「…Kinnara,sowaka」




< 390 / 504 >

この作品をシェア

pagetop