俺のボディガードは陰陽師。
やれ?
何、やるの…?
なずなの姿を視界に入れて、息を飲む。
そのなずなは…軽く深呼吸していた。
「………」
そして、その顔をグッと上げた。
自分の左耳にある、大振りの宝石のピアスに、指をそっと触れる。
「親父…力貸して」
ふっくらとした唇から呟かれるその言葉に反応するかのように、そのピアスは淡い光を発し、規則的に輝き出す。
それは、暖かそうで、幻想的で…。
その光に見とれそうになるが、もがいていた目の前の妖怪が、急に激しく暴れ出しており、思わず視線がそっちに行ってしまう。
一心不乱であるかのように、叫び声をあげては、無数の手はその身を揺らしては、獰猛にもがく。
《オおぉォォぉオォォぉォォツ!!》
その姿を前にして、なずなは腰を低く落とす。
「…Knight,…move on…」
ピアスから離した手には…その幻想的な光が移って、輝いていた。
…って、英語?
突然、英語?漢字片仮名ではなく?
発音、すごい良い…ではない。
…それは、ここ一番で驚かされる。
なずなのスーパーパワー、だった。
「…Kinnara,sowaka」