俺のボディガードは陰陽師。

最後の真言に合わせて、その輝きは四方に飛び散るように弾けた。

眩しすぎる光と、大きく吹いた突風に母さんを腕の中に収めて頭を伏せる。



(光が…)



光は一瞬で消え去る。

代わりに、黄金に輝いた光の粒が…雪のように。

天井から、ハラハラと降り注いでいた。




(………)



そこには、鹿畑倫子さんの姿はもうない。



逝ってしまったのだ、きっと…。



手の平をそっと差し出すと、黄金の光の粒がハラリと落ちてくる。

それを見つめていた。




あんな風に、嘆いて彼女は逝ってしまったけど…。

本当に、幸せじゃなかったのだろうか…。

少しでも、幸せな時間はあったのだろうか…。



《…碧い海が見たいな》



そこは、俺にはわからない。

彼女のみが知る事だ。







「…なずな、ミッション終了だ。お疲れさま」



菩提さんが、ふぅ…と浅く息をつく。



なずなは、こっちに背中を見せたまま。

右手を挙げて、ピースをしていた。




その頼もしい背中を見て。

思わず、フッと笑ってしまった。












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