俺のボディガードは陰陽師。
「伶士、あの…」
後部座席に乗り込もうとすると、親父に呼び止められる。
「…何」
「その…この件は、済まなかった」
「………」
この件、とは…やはり、倫子さんのことだろうか。
少なからず悪かったって、思ってんの?
親父が俺に謝ってる。
頭は下げずに、いつもの偉そうな感じではあるが。
何だか…変な感じ。
「…一発ぶん殴ってやろうかと思ったけど…やめた」
「ぶん殴る…」
「もういいよ」
親父の顔から目を逸らして、車に乗り込む。
続けて、なずなも車に乗ってきた。
「しゃちょー!明日あたり家にいる?!伶士連れてあの要塞襲撃してやっから!マシンガン持ってさー!戦争するぞ!」
「前から言ってるけど、それは絶対にやめろ」
「はー?なんでさー!」
豪快に笑いながら、車のドアを閉める。
なんかこいつ、親父とフレンドリーになってね?
ビジネスパートナーだからか?
しかし、窓の向こうの菩提さんの冷たい視線が恐ろしかった。
これ、減俸間違いないなしだぞ。
そんなことがありながらも、みんなに見送られて、俺達を乗せた車はゆっくり発進した。