俺のボディガードは陰陽師。
「要塞の襲撃って何だよ…」
どいつもこいつも意味のわからないことをぬかすな。
なんて思いながらも、隣に座るなずなにその詳細を尋ねる。
なずなはまだ笑い続けている。
「まあまあまあ。明日のお楽しみ。マシンガン用意しといて」
「ねえよ。そんなもの」
本っ当に、わかんねえやつだな…。
何を考えてるのか掴み所がない。本当に。
「…伶士さま、ご存知でしたか?」
すると、忠晴は運転しながらもルームミラー越しに俺をチラッと見ながら話をする。
「え、何?」
「偶然なのかもしれませんが…このホテル、伶士さまが鹿畑さんに誘拐未遂に合った時のホテルでございます」
「………」
偶然…なのか?
思わず振り返る。
距離が離れ、小さくなった姿のホテルを見た。
大きいホテルなので、小さくなってもその存在感は感じられるが。
偶然…だけど、必然だろうな。
なんて、思えてしまう。
あの時、鹿畑倫子さんは、どんな思いで俺の手を引いていたのだろう。
絶望だったのか、幸せ…ではなかったのだろうか。
前を向けず、大事なものを見失ってしまった、その結果…だったんだろうか。