俺のボディガードは陰陽師。
「うーん…」
そして、こっちをチラッと見る。
その黒目の大きい瞳と目が合ってしまう。
そして、じっと見つめられ…。
「…なぁーんも見えないや」
「霊視出来ない?…おまえが?」
「生き霊?それとも、姿隠して意図がある?…どっちにしろタダ者じゃないね」
そして、しかめ顔になる。
考え込んでいるようで、ブツブツと独語し始める。
…独語?
「…朝イチ…キスマーク…ピンクの口紅…愛して…社長…おっさん…背中……」
この静まった店内に、ただ響くこの独語。
本人は腕を組んで顔をしかめて、一生懸命なのだが。
その様子は、何だか奇妙で恐い。
そして、ギラギラのアイメイクで埋まった目が、パチッと開く。
「…ねえ、社長の息子」
呼ばれて尋ねられるカタチだが。
その呼び方にカチンとくる。
社長の息子…だぁ?
しかし、すかさず指摘が入った。
「なずな、失礼極まりない。伶士くんってちゃんと名前で呼びなさい」
「あ、はいはい。…で、橘伶士くん?さん?…まあ、いいや」
菩提さんの冷たい視線が、鈴代に向けられている。
しかし、とんでもない質問を投げ掛けられるのだった。