俺のボディガードは陰陽師。
『伶士も行ってきたら?』
母さんは俺にそう問いかける。
そうだな…。
あの人には酷い目に合ったが。
他人事ではないような気がしていた。
しかし、それを聞いた親父は横から『ダメだダメだー!』と怒鳴り散らした。
え…何で?
『また倫子が悪霊となっておまえを襲うかもしれん!ダメったらダメだ!』
『え…っつーか、成仏したろ!』
『可愛いすぎるおまえにもしものことがあっては困る!…もし行くなら条件付きだ!』
鹿畑倫子さんのお参りに行くのに、親父の出した条件。
それは。
俺のボディガード、なずなの同伴。
なずなの方へは親父から連絡をした。
そして、二人で連絡を取り合い。
本日、忠晴の運転で、積丹へ。
忠晴は積丹の塩辛を買いに行くと言い、俺達を降ろしてどこかへ行ってしまった。
車で二時間強かけて到着した、積丹のとある岬。
散骨した場所が、ここから見えるという。
天気はとても良く、雲ひとつない空。
しかし、世の中は11月。
浜風が冷たい。
「…本っ当に、律儀だな?おまえは。あんな恐ろしい目にあったにも関わらず、献花とわ…」
花を持ってその岬のポイントまで歩く俺の後ろを、文句たれて着いてくる。