俺のボディガードは陰陽師。
やれやれ。
「…何でか、他人事には思えないんだよ」
記憶にはないけど、昔会ったことあるみたいだし。
それに、散々迷惑をかけた俺がこうして花を手向けに来たら、彼女が少しでも安心して眠れるんじゃないかと思って…。
「それに…親父の尻拭い、みたいな?」
「親不孝なんだか、孝行なんだか?」
「ははっ」
忠晴から教えてもらった、そのビューポイントに辿り着く。
そこには、花束がひとつ、手向けられていた。
他にも誰か来たのか?
その隣に並べるように、花を添える。
そして、手を合わせた。
彼女への思いを念じて。
目を開けると、晩秋の海が目の前に広がっていた。
とても寒々しい様子ではあるが。
彼女が見た海は、夏の海。
《碧い海が見たいな》
凄く、綺麗な碧い海だったんだろうか。
この海を…彼女は、親父の横でどんな思いで見ていたのだろう。
(………)
「やはり、親父はクソヤローだな」
「そればっかり言ってんね。しゃちょー可哀想。可愛いすぎる息子にクソヤロー呼ばわりされて」
「………」
先ほど、手を合わせて念じたことは。
来世では、親父みたいな男に捕まらないでください。
なんて。