俺のボディガードは陰陽師。
えっ…!
目の前には、信じがたい光景が広がっていた。
それを見て、思わず吐き気を覚える。
「な、な、何なの?!やだっ!やだ恐いぃぃっ!」
「やあぁぁぁっ!」
「うわ、うわぁぁぁっ!」
女子だけでなく、男子でさえも悲鳴をあげていた。
悲鳴をあげたくなるのは、無理もない。
俺だって…体が動かない。
それは、恐怖か。
教卓の後方にある黒板に、大きい靄(もや)が潮のように渦巻いていて。
そこからは、手が伸びてきていた。
めちゃくちゃ大きい手が二つ。
それは、尋常じゃない、あり得ないサイズで…大の男が二人ほどすっぽり収まりそうなぐらいの大きさだ。
爪にはピンクのマニキュアが塗られて、先の四角い長さが目を引く。
女性の手…?
あり得ない…。
こんなサイズの手、あり得ない!
まるで、コンピューターグラフィックのようだ。
…しかし、それはCGでもなく、生身だ。
人間の生身の手。影もある。
CGにしちゃリアル過ぎて。
周りのヤツらも、それがわかるから悲鳴を上げているんだ。