俺のボディガードは陰陽師。
一斉に悲鳴をあげて、異常に多きな手から逃れようと逃げ惑うみんなのその様子を。
放心しながら、ただ見ていてただ立ち尽くしてしまう。
嘘だ…嘘だこんなの。
誰かのイタズラじゃ…。
…でも、そんな事態ではない。
現にみんな、流血してケガしていて…!
「…伶士っ!」
名前を呼ばれて、我に返るが。
(…あ)
目の前には、あの手が。
大きな手の平が、すでに目の前にあって。
動けなくなって、ただ黙って見ていると、急にドン!と突き飛ばされ後ろに吹っ飛ばされる。
手の平からは逃れた状態となった。
「…おまえ!ボーッとしてんじゃねえぞ!」
「颯太っ…」
目の前には颯太が、必死の形相で俺を睨み付けながら立っている。
俺を助けてくれたのか?
「バカこの…」
そう言い残して、俺の目の前で足元が崩れるように、うつ伏せにグラッと倒れ込んでしまった。
「え…颯太?」
颯太の反応はない。
白いポロシャツの背中には、血が滲んでじわじわと赤く染まっている。
それを目にして、この状況を初めて理解する。
「…颯太!…颯太!」