俺のボディガードは陰陽師。
まさか、今ので…!
「…颯太っ!…颯太ぁぁっ!」
肩を揺すっても、颯太は何の反応もなく。
それが、更に焦燥を掻き立てる。
颯太が…颯太が、俺を庇って!
必死に颯太の肩を揺すっていると、頭上から陰が落とされる。
見上げると…また、あの大きい手だ。
(あっ…!)
両手揃って、長い爪の先は俺のいる方向に向いている。
やっぱり…俺を、狙ってるのか…?
(どうしよう…)
恐怖に包まれ、顔を伏せて泣き出す女子。
恐怖のあまり、俺同様、放心して動けなくなっているみんな。
倒れたまま動かない、美森や颯太…他のみんな。
俺のせいで、みんなが…。
どうしよう…どうしたらいいんだ?
このままじゃ、他のみんなも…!
「た、た、橘くんっ!危ないぃぃっ!」
「逃げてえぇぇっ!」
向こうから女子の叫びかける声が聞こえる。
ふと気が付くと、またしてもその大きい女の手が目の前に迫っていた。
動かない。
恐怖で体がガタガタと震えて、動けないんだ。
《…あなたを…諦めるなんて、出来ないよ…》