俺のボディガードは陰陽師。
女の声が頭に響いて、それが更に体を膠着させる。
逃げ…られない。
誰か…助けてくれ。
《何かあったらすぐに助けを呼んでくれ》
「助けてくれ…」
《すぐに駆け付ける》
「…助けてくれえぇぇっ!…鈴代なずなぁぁっ!」
倒れている颯太の背を庇いながら、藁にもすがる思いで、喉を擦りきらして叫ぶ。
俺が叫ぶと同時に、傍にある教室のドアがガラッと音を立てて乱暴に開いた。
「あ…!」
目の前には。
教室に駆け込んできた、鈴代なずなが。
右足を踏み込んで、俺の後方に向かって飛び掛かる。
「ーー蓮華、曼陀羅陣!」
鈴代がそう叫ぶと、バシッと電気のショートした音が鳴っている。
風が起こり、大きな音で思わず顔を伏せてしまった。
「…随分、趣味の悪い見てくれだな…?」
鈴代なずなが傍でそう呟くのを耳にして、恐る恐ると顔を上げる。