俺のボディガードは陰陽師。

セオリー破って見境ない

★★★







「動ける奴は両端に寄れ!頭を伏せろ!…倒れている奴も動かして端に寄せてやれ!」




軽々しく机の上に飛び乗って、教室内を見渡しながら偉そうな口調が響き渡る。

綺麗に巻いたロングヘアとミニスカートがフワッとなびいていた。



「は?は?…なずぽよ?」

「何で七組の授業に?」



そんなどよめきがひそひそと聞こえてくるが、鈴代の言ってる事は身を守るには的を得ていたのか。

何だかんだと言うとおりに、みんな速やかに教室の端に寄り、体を屈めていた。



「…伶士、おまえも端に寄れ」



振り返ってこっちを細めた目で見てくる。



「鈴代っ!…ケガしてる人が!」

「大丈夫だ。終わるまで待ってろ」

「でもっ…!」

「大丈夫だ。全て元通りになる。…私が、このビッグハンドとのバトルに勝てば…な?」



え?…元通りになる?!

それはどういう…!



教卓の方で、バタバタン!とけたたましい物音がして体が震える。

ひょっとして、また…!



その姿を目にすると、背筋が一気に凍り付いた。



あのデカい手が。

五本の指をゆっくり動かして、再び動き出している。

ピンク色の長い爪を纏った指先はやはり…こっちに向いていて。



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