俺のボディガードは陰陽師。
そのガラスにぶち当たった状態となったバケモノの手は、バシン!と跳ね返されて後方に少し吹っ飛ぶ。
しかし、バケモノの手は拳を作ってガラスに体当たりをする。
バンバンと大きな音を立てて、何度もぶち当たっている。
その度にパチパチと音を鳴らしていた。
「しつこいなおまえ」
その様子を見ながら、鈴代はスカートのポケットから紙切れ三枚を素早く取り出し、指で挟んで振りかざす。
何か書かれた紙切れ…お札?
「疾っ!」
ふにゃふにゃの紙が、鈴代がそう声をあげるとピンと張り出す。
払って投げつけると、鋭く飛び出してバケモノの手に突っ込んでいき、爆発音を立てる。
攻撃をくらったバケモノの手は、反り返って吹っ飛んだ。
手…なのに。
《あああぁぁぁ…あああぁぁぁ…!》
叫び声が…。
《しないで…邪魔しないで邪魔しないで…殺す!》
「…殺す?物騒だな?」
そうして、鼻で笑い、不敵な笑みを浮かべる。
「…やれるもんならやってみな。…出来るんならな?」
恐らく俺と鈴代にしか聞こえない声にそう答えて、またあの紙切れを取り出して、綺麗に指に挟めてかざしていた。