俺のボディガードは陰陽師。




そのガラスにぶち当たった状態となったバケモノの手は、バシン!と跳ね返されて後方に少し吹っ飛ぶ。

しかし、バケモノの手は拳を作ってガラスに体当たりをする。

バンバンと大きな音を立てて、何度もぶち当たっている。

その度にパチパチと音を鳴らしていた。



「しつこいなおまえ」



その様子を見ながら、鈴代はスカートのポケットから紙切れ三枚を素早く取り出し、指で挟んで振りかざす。

何か書かれた紙切れ…お札?



「疾っ!」



ふにゃふにゃの紙が、鈴代がそう声をあげるとピンと張り出す。

払って投げつけると、鋭く飛び出してバケモノの手に突っ込んでいき、爆発音を立てる。

攻撃をくらったバケモノの手は、反り返って吹っ飛んだ。




手…なのに。




《あああぁぁぁ…あああぁぁぁ…!》




叫び声が…。




《しないで…邪魔しないで邪魔しないで…殺す!》




「…殺す?物騒だな?」



そうして、鼻で笑い、不敵な笑みを浮かべる。




「…やれるもんならやってみな。…出来るんならな?」




恐らく俺と鈴代にしか聞こえない声にそう答えて、またあの紙切れを取り出して、綺麗に指に挟めてかざしていた。

< 85 / 504 >

この作品をシェア

pagetop