俺のボディガードは陰陽師。
《しょに…一緒にいるから…幸せなの……邪魔、邪魔しないでぇぇっ!…》
囁きが大声になり、思わず耳を塞いでしまう。
バケモノの手は、急に獰猛にワキワキと動き出して鈴代に襲い掛かる。
大きい手の平を鈴代の頭上から振り落とすが、それを素早く右に飛んで避わす。
「…疾っ!」
次々と鈴代を狙うが、鈴代は次々と跳び跳ねるように、避わしている。
隙を見ては、先程と同様のお札を払って投げつけ、飛び道具になりバケモノの手を攻撃。
爆発音が次々と風を立てて鳴る。
鈴代の動き…何だ?
俊敏過ぎて、女子の動きじゃない!
運動神経が良い…だけか?
獰猛に動いて、身を机に所々あちこちぶつけて音を響かせる度に、ギャラリーのみんなは悲鳴をあげていた。
が、それは徐々に少なくなり…鈴代とバケモノの手の攻防は、みんなより少し離れた教壇へ。
攻撃を移動して回避しながら、俺達からわざと離れて向こうに…?
回避を続け、机に降り立ち。
バケモノの手を正面に見据え、再度複雑に指を絡ませる。
「…ナウマク・サンマンダ・バザラダン…センダ・マカロシャダ・ソワタヤ・ウンタラタ・カンマン」
鈴代がカタカナの呪文を唱えると、絡ませた指から黄金色の光を放った糸がブワッと吹き出す。
指をほどくと、その光の糸は両手の指にうようよと絡んで動く。