俺のボディガードは陰陽師。



慌てて手を振り払い、腹を庇う。

な、何すんだ急に!



「ホントだ。ケガないみたいだな」

「だからそう言ってるだろ!」

「よかったぁ…」



はあぁぁ…と、鈴代なずなは長く息を吐いた。



よかったって…。

あんな激しいバトルしておきながら、俺のことを心配してたワケ…?

偉そうなくせに。

ちょっと可愛いとこ…あんな。




「…だって、クライアント傷付けたら間違いなく減俸だもん…」

「え…」



鈴代は、なぜかずーんとうつむき、ブツブツと独語している。



「…今月、剣軌のカード使いすぎちゃったし、家賃、光熱費、学資保険、個人年金、学費、諸経費などなど差っ引かれて現金残らんかったら困る…現金残らんかったら、マクド買えない、みっちょとお茶しに行けない、ロカボナッツ買えない、むーといきがりステーキ行けない…」

「………」



独語を重ねる度に、ずーんと影を背負っている。



そうか…。

客である俺がケガなんてしようものなら、こいつのギャラが減るのか…。

俺の心配というか、ギャラの心配ね…?

あぁ、そうかそうか…。



そうか…って、何なんだ。





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