俺のボディガードは陰陽師。
親父や菩提さんからの忠告を、単なる脅しだと思って信じなかった。
呪いも、悪霊の存在も。
そんなことあるワケがない。
そう決めつけていた。
何で、そんなことを思ったんだろう。
危険な目に合ってから、みんなを傷付けてから、それを実感するだなんて。
俺は、何てことをしたんだ…!
やってしまったことに、もう悔やむしかない。
鈴代がいなかったら、一人じゃどうにもならなかったんだ。
握る拳は、降ろしたままガタガタと震える。
…これは、悔しさからではなく。
恐怖だ。
「………」
お互い何の言葉も発することなく、ただ室内は静まり返り、時間が過ぎていく。
俺は…言葉が出ないんだ。
これからの恐怖、不安…後悔ばかりで。
「なずちゃーん!来たわよ!イケメン保護者さま!」
保健室のドアがガバッと開くと同時に、麻倉先生のご機嫌な声が響いた。
ご機嫌に戻ってきた麻倉先生の後ろには…人がいる。
「なずな、ご苦労様」
えっ…何でこの人が?
このタイミングでの突然の登場に、驚くしかない。
「伶士くん、大丈夫だった?」
「菩提さん…!」