俺のボディガードは陰陽師。
先日と同じく、柔らかい笑みを浮かべて登場した。
陰陽師事務所の代表、菩提さん。
「大変だったね。ケガない?」
「あ、はい!」
何で…とは言わずとも。
恐らく今の騒動を聞き付けたのか。いつの間に!
「剣軌、早かったね」
「昨日今日で攻め込んでくるなんて緊急事態だ。そりゃ車も飛ばしてくるよ。…で、伶士くんにケガはなかったけど、なずなはケガしたのか」
え…?
「うるせえな。乗り込んだ時にちょっと無理しただけだ。大したことない」
そう言って、鈴代は左の腕を隠す。
でも、見えてしまった。
左の腕には、長い切り傷があって。
すでに乾いてはいるもの、血がうっすらと滲んでいた。
鈴代、今のでケガしてたのか…?
(………)
…俺は、本当に。
何をやってるんだ…。
「…で?話を聞こうじゃないか」
そう言って、菩提さんは麻倉先生に「失礼します」と頭を下げて椅子に腰掛ける。
麻倉先生は「お茶いれるねー!」と、流し場の方に行ってしまった。
「伶士、座れ」
鈴代に偉そうに着席を促されたが、黙って頷いて俺も椅子に腰掛けた。