松姫様からの贈り物
「着物一緒に着ましょう。着かたを説明しますね」
松さんはにっこり笑ってから丁寧に着物の着かたを教えてくれた。
「結愛さん、よく似合ってるわ」
松さんは満面の笑みで笑ってくれた。
着替え終わった私達は松さんのお父さんに会うために躑躅ヶ崎館にやってきた。
「では父上。私はこれから結愛さんと一緒に町へ行ってまいります」
「あぁ、行ってくるといい」
おじいさんはにっこりと笑って私達を見送ってくれた。
「………すまぬ、松」
おじいさんが私達を見送った後に苦しい顔をしてそんなことを呟いているとも知らずに、ワクワクと町への興味でウキウキしながら小走りで館を飛び出していった。