松姫様からの贈り物
「この時代では本名で呼ばれる事は少ないんです。私達のような女は特に。私も松という名前を父上につけて貰いましたが、今では"新館御料人"と呼ばれる事もあるんです」
そうなんだ……
「松さんはどうして"新館御料人"と呼ばれているの…?」
私の質問に松さんの顔が一気に赤く染まった。
松さんの表情に三条さんはふふ、と小さく笑ったあと、柔らかい声で答えてくれた。
「松は今、花嫁修行の真っ最中なのよ」
花嫁修行……?どうしてそんなこと…
松さんをじーっと見つめてみても私と同い年ぐらいに見える。
「不思議そうな顔をしていますね。この時代では幼いころから嫁になる為に花嫁修行や他国に嫁ぐ事は珍しくないのですよ」