松姫様からの贈り物


「こちらが私の婚約者の信忠様です」


松さんに見せてもらったのは絵だった。


キリッとした目にスっと通った鼻筋、口は大きな弧を描いていて少し幼く見えるけど迚優雅でカッコイイ。


この人が松さんの婚約者…


「とても素敵な方ね」


私が松さんの婚約者だという信忠さんの絵を見せてもらっている時、小さな女の子の声が後ろからした。


「姉上!何見てるのー!」


私と松さんの間にやってきたのはさっきまで庭で友達と蹴鞠で遊んでいたお菊ちゃんだった。


「信忠さんの絵を見せてもらっていたのよ」


菊ちゃんに信忠さんの事を言うと菊ちゃんはニヤニヤしながら松さんを見つめた。


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