松姫様からの贈り物
「父上も姉上の婚約を喜んでいらしたのだけど……父上も苦しい決断をされたのだと思うわ…」
菊ちゃんは苦しそうな顔をして月を見上げた。
菊ちゃんの月を眺める瞳は悲しみを帯びていた。
信玄さんに話して何とか婚約破棄を逃れられないのかな…
「今日はもう寝ましょう。結愛ちゃんも疲れたでしょうから」
私は館に戻りますね、とにっこり笑って菊ちゃんは戻っていった。
私も寝なきゃ……
布団を敷いて横になったけど色んな事がありすぎて上手く寝付けない。
その日は一睡も出来ずに日が昇った。
「おはよう…結愛さん」