松姫様からの贈り物
松さんは朝起きるなり笑ってくれたけどやはり悲しいようで、目の下に隈ができていた。
「松さん…大丈夫ですか…?」
「えぇ……」
松さん……何も言ってなかった。
「松さん……信玄さんに何も言わないんですか?」
「この時代、女の身である私は何を言っても聞いてもらえないんです…何があっても、主君の命令は絶対。逆らったら命を取られてしまいます」
そうなの……?
そんなの…私は嫌だ。
だけど…私はこの時代の事を少ししか知らない。何も──言えない。
……そうだ。
「松さん。私…悩みが有るんですけど……聞いてくれますか?」
松さんは私の言葉に大きく頷いてくれた。