松姫様からの贈り物


でも…


「彼は他に彼女さんが……」


──いるのに。


「だから諦めるの?結愛さんのその方に対する気持ちはそんな簡単に無くなる物なの?」


「……っ、」


そんな訳、ないじゃない…っ


何度も柏木くんの事を忘れようとした。でも………っ


───出来なかった。


それに、諦めたくない。


「信忠様にも、奥様はいらっしゃったのよ」


え?


唐突の話題に頭が付いていかなくて驚いた。


「この時代では、"正室"と"側室"という立場の人がたくさんいるの。私の父上も正室の他に側室の方がたくさんいるわ。」
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