松姫様からの贈り物


柏木くんが示したのは中性子の求め方の問題だった。


私は自分の筆箱から0.3のピンク色のシャーペンを取り出して頭部のキャップをカチカチと推し、芯を出す。


「中性子の数の求め方は質量数と原子番号が関わってくるの」


柏木くんの問題用紙の小さい空白に円を描き、真ん中に4つの丸を縦と横に2つずつ描き足して外側の円に2つの小さい丸を描いた。


「原子にはね、真ん中に原子核って言うものがあってその周りに電子って言うものが回ってるの」


図の上にシャーペンの頭部を滑らせながら柏木くんに優しく言い聞かせるように説明していく。


「原子核の中には"陽子"と"中性子"っていう2つの物があって、陽子は正の電荷(せいのでんか)、電子が負の電荷(ふのでんか)を持っているの」


「じゃあ中性子は?」


柏木くんの質問に私は緩く首を振った。

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