松姫様からの贈り物
「…もう下校の時間か」
柏木くんは小さく呟いてから帰ろっか、と言って身支度を始めた。
「………うん」
私は呟くように返事をして帰る支度に取り掛かった。
夕焼けが廊下と私達を照らす。
誰もいなくなってシンと静まり返った廊下に2人の足音が響く中、柏木くんがふと思い出したように言った。
「そういえばさっき竹下さん何か言いかけてなかった?」
「うん……」
このタイミングで、か……
あの時は……連絡先を交換して欲しい、と言うつもりだった。
急に連絡先知りたいなんて言って、変に思われないかな……
……でも、このチャンスを逃したら柏木くんの連絡先聞けなくなるかも……