音楽が呼ぶ奇跡

私が目が覚めたのが分かったのか、家族全員が来てくれた。親が喋っているのは分かる。けど、なんて言っているのかさっぱり分からない。もう、自分の耳に音が宿る事はないんだと思った。そう思った瞬間、目から沢山の涙が溢れてきた。まるで、今まで、泣く事を我慢していたのが溢れかえってきたかのように

気づいたら、夜だった。久々に泣いたから泣き疲れて眠っていたようだ。目が覚めても音は聞こえない。自分が自分でないように思える。

｢神楽、大丈夫か？｣

私が目を覚ましたのを気づいたのか、お父さんが多分声を掛けてきた。耳が聞こえないから、なんて言っているのか分からない。こんなんじゃ、大好きなピアノが弾けない。それに、それに、認めて貰えない。

｢お、お父さん……｣

良かった。声は出るんだ。そこで、私は一安心した。

失望されないように……あの人達にとって、私は……