曇天の光
「一緒に悪を倒しましょう!」

「お前も悪人だろ!」

二人同時に笑い出す。政宗は半兵衛になぜか懐かしさを覚えた。



大泥棒である半兵衛と協力することを誓って数ヶ月が経った。

証拠は半兵衛が押さえてくれるとのことだったので、政宗は何も変わらずに仕事をしている。

道三たちは相変わらず不正行為を続けていて、政宗は早く不正を明るみにできないかともどかしさを感じた。半兵衛曰く、組織が大きすぎるため証拠を集めるのに時間がかかるらしい。

「やっと証拠が揃いつつありますよ!そろそろ公表してもいい頃ですかね」

居酒屋のお手洗いの個室で、政宗は半兵衛から話を聞く。半兵衛の笑顔を見て、政宗は「すまない」と言った。

「俺は何もしていなくて、全てお前に任せてしまった」

「そうですねえ……。でも、あなたもこれからが忙しくなりますよ。僕は世間に自分の行いを称えてもらいたいわけじゃない。だから、世間に全てをバラした後はあなたに任せます」

「……わかった」
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