曇天の光
名前はともかく、監視されているなどどれだけ調べても普通なら知ることのできない情報のはずだ。政宗でさえ、自分を監視している人間が誰なのか知らない。

「特殊警察の内部に協力者がいるんだ。だから特殊警察が不正まみれだってことも知ってる」

ニコリと笑ったその顔に、政宗の頭の中に友達の顔が浮かんだ。なぜその顔が浮かぶのかわからない。それより政宗は気付いたことがある。

「お前、見覚えがあると思ったら大泥棒の半兵衛(はんべえ)だな。あちこちで盗みを働き、警察も驚きの情報網を持つ」

「へえ〜。こんな状況でも自分を誘拐した人物のことを冷静に言えるんだ」

政宗は手配書を思い出しながら、半兵衛を睨み付ける。武器を奪われ、拘束されてしまっているが、強気な態度を捨てるわけにはいかなかった。

「それで、何の用なんだ。お前が望むようなものは俺は持っていないし知らない」

「やだなぁ〜。しばらく盗みはしないよ。もっと刺激的なゲームをしたくてね?」
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