バレンタインの嫉妬
~放課後~
私は、帰りのHRが終わった後、急いで空き教室に向かいました。
空き教室の扉を、開けようとすると、佐藤くんから引きずり込まれました。
空き教室の中に入って、佐藤くんは、私を無言で抱き締めたままなので、話しかけることにしました。
「ねぇねぇ!佐藤くん。なんで空き教室の前にいるのが、私ってわかったの?」
「空き教室に用事があるの摩耶しかいないから。」
「そういえば、なんで空き教室に呼んだの?」
「摩耶に聞きたいことがあるから。」
佐藤くんは、そういって、一旦、私を離した。
「さっきの後輩くんとはどういう関係?」
「ただの部活の後輩だよ。」
「じゃあ、なんでチョコレートをあげてたの?」
「義理チョコだよ。」
私がそういうと、佐藤くんは、怒った顔をした。
「じゃあ、友達とか後輩にはあげてなんで、僕にはチョコくれないわけ?僕が嫌いになったの?もう摩耶なんて知らない!!」
すると、私の中にあった何かが切れた。
「なんで、私ばっかり言われないと、いけないわけ?さっきから、後輩くんとは何もないって言ってるのに!!佐藤くんにチョコあげてないのは、佐藤くんのお友達から、チョコ二度と食べたくないって聞いたからだし、だいたい佐藤くんだって、私にもらわなくても、たくさんもらってるんでしょ!!私、初めて大好きな人にチョコ作ったのに!!」
彼は泣きながら謝ってきて、抱き締めてきた。
「ごめんね。摩耶。」
「離して!!もう佐藤くんなんて知らない!!」
「ちょっとだけ、僕の話を聞いて?僕、今年はチョコ一つももらってないよ。だって、僕、摩耶が、大好きだから、摩耶のチョコだけが食べたかったの。だけどね、摩耶が、後輩くんと話したり、友達にチョコあげたりしてるの見て、摩耶は僕の彼女なのに!!とか、僕がチョコ一番にもらいたかったのに!!とか思って嫉妬しちゃったの。あの、僕にもチョコちょうだい?」
私はこれを聞いた瞬間、顔を真っ赤にした。そしてチョコレートをあげた。そして彼は少し喜んだ後、また少し拗ねていた。
「ねぇねぇ摩耶。僕、まだ少し怒っているよ。」
「ごめん。許して佐藤くん。何でもするから。」
すると、佐藤くんは嬉しそうな顔をした。
「じゃあ、僕のこと “ 佐藤くん〝じゃなくて下の名前で呼んで?」
「ま、ま、ま、政宗くんっ!!」
私がこう呼ぶと、政宗くんは嬉しそうな顔をした。
「よくできました。」
そういうと、政宗くんは私にキスをした。
初めてのキスは、私が今まで食べたどんなチョコレートよりも甘かった。