弥生花音 童話集 1
みならいまじょのリラとサンタクロース
あるところにまじょの森がありました。
まじょのむすめは8さいになるとみならいまじょとなり、まじょのしゅぎょうをすることになっています。
ことしの12月10日、リラというまじょのむすめが8さいのたんじょうびをむかえました。
リラのママがリラに言いました。
「今日で、8さいのおたんじょうびね。これからは、ひとりのみならいまじょとしてきびしくおしえますよ」
「ママ。8さいになるのをたのしみにしていました。これから10ねんかん、よろしくおねがいします」
「さいしょのしゅぎょうは、さくらまちにいるくるみちゃんというおんなのこのクリスマスをしあわせにすることです」
「でも、ママ、あたし、ほうきにのることしか、まほうをおぼえていないわ」
「リラ、まじょのちからはまほうだけじゃないのよ」
リラちゃんのママはほほえんでいいました。
「どういうこと?」
「じきにわかるわ。ほら、ここが、くるみちゃんのおうち。たずねてみなさい。お金は、2000円あげるから、もっていきなさい」
よく分からないまま、リラは地図をうけとり、くるみちゃんのいえへほうきにのってむかいます。
じこくは、ごご4時。もう、がっこうからかえってきているころです。
ピンポーン。チャイムをならします。
「だぁれ?」インターフォンからかわいい声がきこえます。
「くるみちゃんですか?みならいまじょのリラと申します。はじめまして」
「まじょ?まじょっているの?」
くるみちゃんは、こうふんぎみです。・・・でも。
「いるはずない。サンタクロースだってうちにはこないんだもの」
「ほんとうです。ほんものの・・・みならい、だけど、まじょです」
きぃぃ・・・。ドアが、ゆっくりと開きます。
ぼうし、ワンピース、くつ、すべてがきみどりいろの、みならいまじょ10級のせいふくを着たリラがいます。
「みならいまじょって、まっくろなふくを着ているんじゃないの?」
「あ、あたし、それ好き。『まじょのたっきゅうびん』おもしろいよね」
リラはにこやかに言います。
「みならいまじょさん、は、きみどりいろなの?」
「せいかくには、みならいまじょ10級。級によって、色がちがうの」
「ふぅん・・・で、うちに何の用?」
「あ、の~~、くるみちゃんのクリスマスをしあわせにすること、がはじめてのしごとなの」
くるみちゃんが、かなしそうに、こまったように、わらいます。
「うちには、クリスマスはこないわ。12月24日も25日も、ただのふつうの日。サンタクロースも来たことがないし、ケーキも食べないし。パパは死んじゃったし、かんごしのママは、まいとし、1ばんじゅうしごとだし」
「だったら・・・だったら、リラとくるみちゃんでことしはステキなクリスマスを作ろうよ。」
くるみちゃんをはげまそうと、リラはあかるく言います。
「とりあえず、100円ショップに行って、へやをクリスマスにするざいりょうを買おう」
「へ?100円ショップ?まほうでぱ~っと変える、とかじゃないの?」
くるみちゃんが、ちょっとがっかりしたようにいいます。
「えへへ。それができるのは、う~~ん、5級くらいのみならいまじょからかな」
てへっ。舌をだしてわらうリラ。それを見て、おおわらいするくるみ。
「あっはっは!!まじょっていったって、なんにもできないじゃん。あなた、おもしろ~い!!」
ぷんぷん。リラはおこったふりをします。
「ほうきには、のれるもん。ほら、うしろにのって」
ほうきがとびたちます。
「すご~い!!」
くるみちゃんは、空とぶほうきにおおよろこびです。
しばらくして・・・。
リラとくるみちゃんは、くるみちゃんのいえの中にいました。
100円ショップで、おりがみやセロファン、まどにくっつく「メリークリスマス」の文字、クリスマスリースなどを買ってきたのです。
「ほら、きらきら星が折れたよ。こっちは、サンタクロース」
リラが次々にクリスマスのかざりをおっていきます。
「あたしは、スノーマンをおったよ。ゆきのけっしょうもきってみたよ」
「リラちゃん、あたしね、犬がかいたい。もしねがいが叶うなら・・・」
(犬かぁ・・・。)
ふたりでしばらく楽しそうにつくっていました。でも・・・。
「こんなことしても、うちにはサンタさんは来ないよ。ママもいないクリスマスなんて」
くるみちゃんは、部屋にこもって、べっどにつっぷして泣きつづけます。
(どうしたらいいんだろう・・・どうしたら)
リラはひっしにかんがえます。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
その日の夜。リラは、パパとママと、食事をしていました。
「ママ・・・サンタクロースって、どこに住んでいるの?」
「とおい、とおい、北の国よ」
リラは心を決めたように言います。
「あたし、行ってみる。そして、なんでくるみちゃんにプレゼントをあげにこないのか、聞いてみる」
「ほんとうに、とおいんだぞ」
パパはきづかうように言います。
「だいじょうぶ。くるみちゃんのためだもん!」
「そう・・・じゃあ、気を付けて行ってらっしゃい。お金はいくら残っているの?」
「くるみちゃんのいえをかざるのに、990円使ったから・・・残りは1010円。大丈夫よ」
「そのおかねは、しぜんにその国のおかねにかわるから。ひつようなものは買いなさい。それから、パンとお茶をもって行きなさい」
「ありがとう、ママ」
「気を付けてね。あたたかくしていきなさい」
「はい。行って来ます」
リラは、ほうきにのって、ママにもらった地図をたよりにとびつづけました。
(これは、3~4日、かかりそうだわ。急がないと)
リラは、ひっしにとびつづけました。すると、ず~っと北の方のくもの上に、あたたかな光が見えます。
(きっと、あそこだわ)
リラは、雲めがけてとんでいきました。すると、赤い服をきた、サンタクロースたちが集まっているばしょを見つけて、声をかけました。
「サンタクロースさ~ん!!」
なんだ、なんだ?ちいさなまじょのとうじょうに、サンタクロースたちは、ビックリしています。
「日本の、とうきょうの、さくらまちの、くるみちゃんには、なんでプレゼントをくれないんですかっ?」
すごいいきおいで、リラが言います。
「まぁ、まぁ、おちついて。君たちがつくったクリスマスかざりで、ようやくくるみちゃんのママがクリスマスに気づいてくれたよ。おやすみも、取ってくれたようだ。きっとステキなクリスマスイブになるよ」
「でも、サンタさんからのプレゼントは・・・」
「それが、くるみちゃんが、ほしいものを言わないんだよ」
(犬・・・犬だわ)
「くるみちゃんは、犬が欲しいって」
サンタさんは困ったように首をふります。
「どうぶつは・・・いつも、どうぶつのぬいぐるみから、まほうでどうぶつにしているのさ。そのぬいぐるみがなけりゃ」
リラちゃんは、考えます。
「あみぐるみでも、いい?」
「もちろんさ。でも、どうするんだい?」
「下に行って、毛糸とかぎ針と目と鼻のざいりょうを買ってくる。で、おおいそぎで編むわ。それで大丈夫?」
「もちろんさ」
サンタさんはえがおで言いました。
リラは町におり、ざいりょうを用意して、おおいそぎで戻りました。
そして、おおいそぎで犬のあみぐるみを編んでいると
「リラ、いそいで。タイムリミットの20日はもうすぐだよ」
「しっぽをつけて・・・できたわ」
それは、かわいらしいミニチュアダックスフンドのあみぐるみでした。
「じゃあ、やろうかね?」
サンタクロースさんたちは、ホッホッホー、といって、いっせいにまほうをかけました。
するとどうでしょう?
あみぐるみだった、ミニチュアダックスフンドがほんものになって、ワンワン、とほえています。
「よしみんな、行こう。とうきょう担当のわしに、リラはついてきてくれ」
「わかったわ」
サンタクロースたちは、それぞれの方向に旅立って行きました。リラもサンタさんと一緒にとうきょうへ行きます。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
24日、クリスマスイブの夜です。くるみちゃんが楽しそうに、ママとテーブルを囲んでいます。おいしそうな料理に、ケーキもあります。小さいですが、ママが買ってきてくれた、クリスマスツリーも飾られています。
「くるみ、いままで、仕事ばかりでごめんね。これからは、クリスマス、一緒に過ごそうね」
「うん、うん。ママが一緒にいてくれたら、プレゼントなんて、いらない」
「くるみ・・・」
ママは、目になみだをうかべていました。
その日の夜おそく、くるみちゃんがねてしまったころ、サンタクロースとリラがくるみちゃんの部屋にやってきました。
サンタクロースがまほうで部屋のかぎをあけ、そっとミニチュアダックスフンドをベッドの下に置きました。
「メリークリスマス、くるみちゃん」
リラはちいさくささやきました。
クリスマスの朝。
「ママ~!サンタクロースが、サンタクロースが、来てくれたよ!!この子、見て!」
ミニチュアダックスフンドが、くりくりした目でみあげています。
「まぁ・・・ほんとなのね」
「あたし、この子の名前、リラにする」
「リラ?なんで?」
くるみちゃんのママは不思議そうです。
「うふふ、ひみつ!」
(リラちゃんがくれたのよね?ありがとう・・・。)
そのようすを、そとから、そっとリラは見ていました。
(しあわせ、よね?くるみちゃん)
リラは、ほうきにのって、まじょの森に帰りました。
「ただいま~。ごめんなさい、もらったお金、ほとんどつかっちゃった。のこり、15円だけ」
「いいのよ。ちゃんと、くるみちゃんのために使いましたね。見ていましたよ。よくやりました!」
リラは、えがおいっぱいになりました。
「メダルを1枚あげます。10枚たまったら、今度は9級ですよ」
「がんばりますっ」
「こっちへおいで、リラ・・・」
ママが、リラをぎゅっと抱きしめました。
「今日が、私たちのクリスマスイブよ。楽しくお祝いしましょう」
「そうだな」
パパもリラとママをぎゅっと抱きしめました。
「リラ、8さい、みならいまじょ10級、これからもがんばります!」
おしまい
まじょのむすめは8さいになるとみならいまじょとなり、まじょのしゅぎょうをすることになっています。
ことしの12月10日、リラというまじょのむすめが8さいのたんじょうびをむかえました。
リラのママがリラに言いました。
「今日で、8さいのおたんじょうびね。これからは、ひとりのみならいまじょとしてきびしくおしえますよ」
「ママ。8さいになるのをたのしみにしていました。これから10ねんかん、よろしくおねがいします」
「さいしょのしゅぎょうは、さくらまちにいるくるみちゃんというおんなのこのクリスマスをしあわせにすることです」
「でも、ママ、あたし、ほうきにのることしか、まほうをおぼえていないわ」
「リラ、まじょのちからはまほうだけじゃないのよ」
リラちゃんのママはほほえんでいいました。
「どういうこと?」
「じきにわかるわ。ほら、ここが、くるみちゃんのおうち。たずねてみなさい。お金は、2000円あげるから、もっていきなさい」
よく分からないまま、リラは地図をうけとり、くるみちゃんのいえへほうきにのってむかいます。
じこくは、ごご4時。もう、がっこうからかえってきているころです。
ピンポーン。チャイムをならします。
「だぁれ?」インターフォンからかわいい声がきこえます。
「くるみちゃんですか?みならいまじょのリラと申します。はじめまして」
「まじょ?まじょっているの?」
くるみちゃんは、こうふんぎみです。・・・でも。
「いるはずない。サンタクロースだってうちにはこないんだもの」
「ほんとうです。ほんものの・・・みならい、だけど、まじょです」
きぃぃ・・・。ドアが、ゆっくりと開きます。
ぼうし、ワンピース、くつ、すべてがきみどりいろの、みならいまじょ10級のせいふくを着たリラがいます。
「みならいまじょって、まっくろなふくを着ているんじゃないの?」
「あ、あたし、それ好き。『まじょのたっきゅうびん』おもしろいよね」
リラはにこやかに言います。
「みならいまじょさん、は、きみどりいろなの?」
「せいかくには、みならいまじょ10級。級によって、色がちがうの」
「ふぅん・・・で、うちに何の用?」
「あ、の~~、くるみちゃんのクリスマスをしあわせにすること、がはじめてのしごとなの」
くるみちゃんが、かなしそうに、こまったように、わらいます。
「うちには、クリスマスはこないわ。12月24日も25日も、ただのふつうの日。サンタクロースも来たことがないし、ケーキも食べないし。パパは死んじゃったし、かんごしのママは、まいとし、1ばんじゅうしごとだし」
「だったら・・・だったら、リラとくるみちゃんでことしはステキなクリスマスを作ろうよ。」
くるみちゃんをはげまそうと、リラはあかるく言います。
「とりあえず、100円ショップに行って、へやをクリスマスにするざいりょうを買おう」
「へ?100円ショップ?まほうでぱ~っと変える、とかじゃないの?」
くるみちゃんが、ちょっとがっかりしたようにいいます。
「えへへ。それができるのは、う~~ん、5級くらいのみならいまじょからかな」
てへっ。舌をだしてわらうリラ。それを見て、おおわらいするくるみ。
「あっはっは!!まじょっていったって、なんにもできないじゃん。あなた、おもしろ~い!!」
ぷんぷん。リラはおこったふりをします。
「ほうきには、のれるもん。ほら、うしろにのって」
ほうきがとびたちます。
「すご~い!!」
くるみちゃんは、空とぶほうきにおおよろこびです。
しばらくして・・・。
リラとくるみちゃんは、くるみちゃんのいえの中にいました。
100円ショップで、おりがみやセロファン、まどにくっつく「メリークリスマス」の文字、クリスマスリースなどを買ってきたのです。
「ほら、きらきら星が折れたよ。こっちは、サンタクロース」
リラが次々にクリスマスのかざりをおっていきます。
「あたしは、スノーマンをおったよ。ゆきのけっしょうもきってみたよ」
「リラちゃん、あたしね、犬がかいたい。もしねがいが叶うなら・・・」
(犬かぁ・・・。)
ふたりでしばらく楽しそうにつくっていました。でも・・・。
「こんなことしても、うちにはサンタさんは来ないよ。ママもいないクリスマスなんて」
くるみちゃんは、部屋にこもって、べっどにつっぷして泣きつづけます。
(どうしたらいいんだろう・・・どうしたら)
リラはひっしにかんがえます。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
その日の夜。リラは、パパとママと、食事をしていました。
「ママ・・・サンタクロースって、どこに住んでいるの?」
「とおい、とおい、北の国よ」
リラは心を決めたように言います。
「あたし、行ってみる。そして、なんでくるみちゃんにプレゼントをあげにこないのか、聞いてみる」
「ほんとうに、とおいんだぞ」
パパはきづかうように言います。
「だいじょうぶ。くるみちゃんのためだもん!」
「そう・・・じゃあ、気を付けて行ってらっしゃい。お金はいくら残っているの?」
「くるみちゃんのいえをかざるのに、990円使ったから・・・残りは1010円。大丈夫よ」
「そのおかねは、しぜんにその国のおかねにかわるから。ひつようなものは買いなさい。それから、パンとお茶をもって行きなさい」
「ありがとう、ママ」
「気を付けてね。あたたかくしていきなさい」
「はい。行って来ます」
リラは、ほうきにのって、ママにもらった地図をたよりにとびつづけました。
(これは、3~4日、かかりそうだわ。急がないと)
リラは、ひっしにとびつづけました。すると、ず~っと北の方のくもの上に、あたたかな光が見えます。
(きっと、あそこだわ)
リラは、雲めがけてとんでいきました。すると、赤い服をきた、サンタクロースたちが集まっているばしょを見つけて、声をかけました。
「サンタクロースさ~ん!!」
なんだ、なんだ?ちいさなまじょのとうじょうに、サンタクロースたちは、ビックリしています。
「日本の、とうきょうの、さくらまちの、くるみちゃんには、なんでプレゼントをくれないんですかっ?」
すごいいきおいで、リラが言います。
「まぁ、まぁ、おちついて。君たちがつくったクリスマスかざりで、ようやくくるみちゃんのママがクリスマスに気づいてくれたよ。おやすみも、取ってくれたようだ。きっとステキなクリスマスイブになるよ」
「でも、サンタさんからのプレゼントは・・・」
「それが、くるみちゃんが、ほしいものを言わないんだよ」
(犬・・・犬だわ)
「くるみちゃんは、犬が欲しいって」
サンタさんは困ったように首をふります。
「どうぶつは・・・いつも、どうぶつのぬいぐるみから、まほうでどうぶつにしているのさ。そのぬいぐるみがなけりゃ」
リラちゃんは、考えます。
「あみぐるみでも、いい?」
「もちろんさ。でも、どうするんだい?」
「下に行って、毛糸とかぎ針と目と鼻のざいりょうを買ってくる。で、おおいそぎで編むわ。それで大丈夫?」
「もちろんさ」
サンタさんはえがおで言いました。
リラは町におり、ざいりょうを用意して、おおいそぎで戻りました。
そして、おおいそぎで犬のあみぐるみを編んでいると
「リラ、いそいで。タイムリミットの20日はもうすぐだよ」
「しっぽをつけて・・・できたわ」
それは、かわいらしいミニチュアダックスフンドのあみぐるみでした。
「じゃあ、やろうかね?」
サンタクロースさんたちは、ホッホッホー、といって、いっせいにまほうをかけました。
するとどうでしょう?
あみぐるみだった、ミニチュアダックスフンドがほんものになって、ワンワン、とほえています。
「よしみんな、行こう。とうきょう担当のわしに、リラはついてきてくれ」
「わかったわ」
サンタクロースたちは、それぞれの方向に旅立って行きました。リラもサンタさんと一緒にとうきょうへ行きます。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
24日、クリスマスイブの夜です。くるみちゃんが楽しそうに、ママとテーブルを囲んでいます。おいしそうな料理に、ケーキもあります。小さいですが、ママが買ってきてくれた、クリスマスツリーも飾られています。
「くるみ、いままで、仕事ばかりでごめんね。これからは、クリスマス、一緒に過ごそうね」
「うん、うん。ママが一緒にいてくれたら、プレゼントなんて、いらない」
「くるみ・・・」
ママは、目になみだをうかべていました。
その日の夜おそく、くるみちゃんがねてしまったころ、サンタクロースとリラがくるみちゃんの部屋にやってきました。
サンタクロースがまほうで部屋のかぎをあけ、そっとミニチュアダックスフンドをベッドの下に置きました。
「メリークリスマス、くるみちゃん」
リラはちいさくささやきました。
クリスマスの朝。
「ママ~!サンタクロースが、サンタクロースが、来てくれたよ!!この子、見て!」
ミニチュアダックスフンドが、くりくりした目でみあげています。
「まぁ・・・ほんとなのね」
「あたし、この子の名前、リラにする」
「リラ?なんで?」
くるみちゃんのママは不思議そうです。
「うふふ、ひみつ!」
(リラちゃんがくれたのよね?ありがとう・・・。)
そのようすを、そとから、そっとリラは見ていました。
(しあわせ、よね?くるみちゃん)
リラは、ほうきにのって、まじょの森に帰りました。
「ただいま~。ごめんなさい、もらったお金、ほとんどつかっちゃった。のこり、15円だけ」
「いいのよ。ちゃんと、くるみちゃんのために使いましたね。見ていましたよ。よくやりました!」
リラは、えがおいっぱいになりました。
「メダルを1枚あげます。10枚たまったら、今度は9級ですよ」
「がんばりますっ」
「こっちへおいで、リラ・・・」
ママが、リラをぎゅっと抱きしめました。
「今日が、私たちのクリスマスイブよ。楽しくお祝いしましょう」
「そうだな」
パパもリラとママをぎゅっと抱きしめました。
「リラ、8さい、みならいまじょ10級、これからもがんばります!」
おしまい