。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
クリーナーとは死体を酸で溶かして、後始末をするヤツのことだ。
肉も骨も短時間で溶ける。その後は排水溝に流しちまえば証拠も残らない。
「難しい言葉を知ってるね、ヒツジちゃん」とタイガはあくまで余裕顔。
クリーナーの存在は知っていたし、イチからの証言でスネークはクリーナーであることは早い段階で気づいた。
目の前でこの気持ち悪いほどの完璧な微笑を浮かべた男は、気持ち悪いほど人殺しを簡単にやってのける、
そこに人間として最低限あるだろう罪悪感は微塵も感じない。
ただ、利用価値がなくなったら始末するだけ、簡単なことだ、と言いたげだ。
俺は握った拳にぎりぎりと力を込めた。
人間として感情が欠落しているのだろうか、だからこいつはいつも余裕なのだ。
だから“暗殺者”なのだ。
でも
どこか、どこかに何か歪があるはず。
まずは、その歪を見つけて攻める。ここからはチームワークが重要だ。
俺たちにあって、スネークにないもの。
団結力と、強い信念―――
「次に我々が攻撃されたのは、同じく御園医院でした。お嬢がマシンガンの銃口に気づき、戒さんが弾丸を見破った」響輔が睨むようにタイガに喋りかけ
「M240だ。アメリカの海兵隊が使用するFN社のマシンガン。
口径は7.6mm。最大射程は3700m。約二分間の連続射撃が可能だ」
俺が後を引き継いだ。タイガは面白そうに笑い
「そうだね、あのときは標的を撃ち損ねた。
この私の狙いから逃れるなんて、君たちがはじめてだよ」
タイガの戯言を最後まで聞かず
「狙いは鴇田だったんか?何故だ。
“雇い主”からの依頼か?」と俺がすかさず被せた。
「雇い主の依頼ではない、あれは私からのほんのプレゼントさ」
「敢えて証拠を残した、と?」
響輔が目を細めて聞き
「ご想像にお任せするよ」とタイガは笑ったが、うまくはぐらかされた気がする。
ここか――――…?
攻めるポイントが垣間見えた気がしたが、まだ違う。
まだ早い。何か違う気がする。
何か―――……
何かあるはずだ。こいつにとっての“穴”が。