。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



「話を変えます。


畑中組の裏カジノとヤクが絡んでいる“裏ビジネス”について、あなたは詳しいと思いますが」


タイガに次の一手を与えることなく、響輔が切り出した。絶妙なタイミングだった。


「サイドビジネスの一環だよ。“掛け持ち”なんてイマドキ珍しくないだろう?」


「殺し屋と会計士がか。随分ハードだな。そんなに稼いでどうするって言うんだ」


「老後の蓄えだよ♪」


タイガはどこまでも冷静で一定のリズムを崩さない。ジョークすら言える余裕がある。


「実際、あんたの“ビジネス”はうまくいっていた。“ネズミ”に嗅ぎまわられる前までは」


俺の言葉にタイガは軽く肩をすくめ


「本当に厄介などぶネズミどもだ。クスリが絡んでいるから四課の連中も動き始めた」タイガは言ったが、


………


タイガの供述に少しだけ違和感があった。


畑中組がヤクに手を出していたことを、彩芽さんが追っていたのは事実だ。あの女は四課らしいし、ほぼ間違いない。だが、タイガがいつ畑中組のヤクの売買に介入したか、が問題だ。


響輔も同じことを思ったのだろう


「お嬢に盛ったクスリの原料も出所は畑中組が卸しているヤクですよね。


あなたはいつ、その畑中組のコカインを利用しようと思ったのですか」


と言い、俺たちが少しだけ主導権を握ったように思われるが


「誘導尋問なら受けないよ。その問いかけに私が答える義務はない」


と、タイガは薄く笑う。またもうまくはぐらかされた。


こっちとしては確固たる証拠がないから、攻められない。


だめだ、攻めても攻めても、こいつには退路がある。


だが退路があるのなら、そこを一つずつ潰していく。



まずは



キリさんからだ―――







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